代襲相続はどのような場合に発生するのか?

法定相続人である子や兄弟姉妹が死亡していた場合、代わりに相続権を得ることができる人物を代襲相続人と呼びます。しかし、誰が代襲可能でどこまで相続人となるのか、代襲相続した場合の相続割合はどうなっているのか等、一般的に理解が難しい制度でもあります。

ここでは、被相続人と代襲相続人となる人物の関係性や相続割合等について、基本的な知識を整理していきます。

相続人の子や孫が代わりに相続することを代襲相続という

代襲相続(だいしゅう-そうぞく)とは、被相続人の死亡以前に被相続人の子や兄弟姉妹が死亡等により相続権を失っていた場合に発生する相続です。簡単に言えば既に死亡してしまったこれらの人の代わりに、その子(被相続人から見て孫や甥姪)がこれらの人の相続権を承継する制度のことを言います。

代襲相続が認められる3つの原因は相続人の死亡・相続排除・相続欠格による

民法では、本来の相続人が以下3つの状態のうちいずれかに当てはまった時に限り、代襲相続ができると定めています。

相続人の死亡

法定相続人が死亡して相続権を失った時

相続廃除

生前の故人に対して侮辱や虐待等の著しく不当な扱いを行った相続人について、故人の意思によりその人物の相続権を剥奪されるよう裁判所に手続きを行った場合。

相続欠格

遺産目的で著しく不当な行為を行った相続人の相続権を強制的に剥奪した場合。

民法第891条では、以下の5つのいずれか1つ以上に当てはまった時、相続欠格になることが明記されています。

  • 被相続人や相続権が自分より上の人物を殺害しようとして刑に処せられたか未遂に終わった場合。あるいは介護の必要な被相続人の遺棄も該当する。
  • 被相続人が殺害されたと認識していたのにも関わらず、その人物を告発あるいは告訴しなかった場合。ただし殺害者の直径家族や配偶者、小さな子供を除く。
  • 遺言書の内容を自分の都合の良いように偽造・変造したか、破棄・隠匿した場合。
  • 詐欺や脅迫等により遺言する行為やその変更・取り消しを強要した場合。
  • 詐欺や脅迫等により遺言する行為やその変更・取り消しを妨げた場合。

相続を放棄した相続人について代襲相続は認められない

代襲相続が認められる事由は5つのうちいずれかと決まっており、相続放棄は対象外となります。そのため法定相続人が自らの意思で相続を放棄した場合、次の順位の人物が代わりに相続することはできません。

父が死亡し、母と子1人が法定相続人になった場合、その子が死亡により相続権を失えば孫が代襲相続を行います。しかし子が相続放棄により自ら権利を手放した場合は、孫が代わりの相続人となることはできません。この場合、亡くなった父の直系尊属である両親と母が法定相続人になります。

複数の代襲相続人がいる場合も元の相続分に従って遺産分割を受ける

代襲相続では、本来の相続人が受けるはずだった相続割合がそのまま代襲相続人に移行します。仮に代襲相続人が複数いた場合も、元の相続分に基づいて遺産を分割することになります。

直系卑属は無制限に代襲される

法定相続人である子が死亡した場合は孫、孫が死亡した場合はひ孫というように、直系卑属は無制限に相続権が代襲されます。

兄弟姉妹が死亡した場合の代襲相続は甥姪まで

法定相続人となった兄弟姉妹が死亡した場合はその子である甥や姪が代襲相続しますが、相続権は甥又は姪の世代で打ち切られます。

代襲相続に直系尊属は含まれない

代襲とは親から子、子から孫に向かって相続権が移動することであるため、被相続人の親や祖父母は対象になりません。ただし、被相続人に子や孫がいなかった場合、その両親が通常の相続権を持つことになります。両親ともに死亡している場合は生存する祖父母が相続権を持ちます。

養子の子の代襲相続は出生のタイミングにより変化する

養子縁組をした子は実子と同じであるため当然に相続権利を持ちますが、養子が死亡した場合に養子の子が代襲相続できるかどうかは、養子の子がいつ出生したかに左右されます。

養子縁組前にすでに子が出生していた場合

養子の連れ子となるため被相続人から見て直系卑属に該当せず、代襲相続権利を持たない。

養子縁組後に子が出生した場合

養子縁組した後に養子に生まれた子は実子なので、被相続人から見て孫に当たり直系卑属に該当するため、代襲相続権利を持つ。

代襲相続するためには、その者が被相続人から見て直系卑属であることが求められるので、養子の子についても同じ条件が必要です。

代襲相続の問題はやや複雑で、誰が代襲相続権を持ち誰が持たないのか混乱しやすく、トラブルにも発展しやすいテーマだと言えます。しかし、弁護士に依頼していれば、相続人としてどう行動すべきかがわかりますし、法的な知識と経験を根拠に自信を持って権利を主張することもできるので、結果として無用な揉め事を避けることに繋がります。相続問題はいかに円満解決に至るかがとても重要だからこそ、1人で問題を抱え込まず少しでも早く当事務所までご相談いただけることをお待ちしています。