寄与分とは?|算定と計算の方法について

故人が亡くなるまで傍について世話を行ってきた子もいれば、遠方住まいのため故人と顔を合わせる機会が少ない子もいます。このような場合では、故人の近くで献身的な世話をする等した子について「寄与分」が認められる可能性があります。

ここでは、寄与分の考え方と寄与分を含めた相続割合の算定方法・計算方法について解説します。

故人の財産維持や増加を支え貢献した相続人は「寄与分」を主張することができる

寄与分とは、その相続人が生前の故人の財産維持や増加に貢献したこと、献身的に看護したことなどを評価し、相続分を増やすための仕組みで、民法第904条では以下3つの要件を満たすことが求められています。

  1. 相続人による行為であること
  2. 一般的な世話の範疇を超える特別な寄与行為であること
  3. 寄与行為により故人の財産維持や増加があったこと

そのほか、故人と相続関係が近い人物が、無償でその行為を行ってきたこと、それが1年以上の継続的な行為であったこと、故人を専従的に支える行為であったことなどの点については非常に重要です。

例えば故人である父の子が長期間に渡り父の事業を手伝い支えてきたケースや、故人にまとまった資金を提供したケース、仕事を長期間休んだり辞めたりする等して故人の世話に専従したケース等は、特別な寄与があったと見なされやすいと言えます。

寄与分の算定方法には明確な規定がない

寄与分をどのように算定するかは、家庭裁判所の裁量にゆだねられることが非常に多く、明確な規定は設けられていません。よくあるケースの算定目安としては、以下が挙げられます。

  • 故人に対し不動産取得費用として多額の金銭を贈与した場合
  • 相続の開始時点での不動産価格×(出資金額を不動産取得時価格で割った数値)=寄与分

  • 療養していた故人に対し専従的に介護や看護を行った場合
  • 付添婦の日当×看護・介護日数×家裁による裁量割合=寄与分

寄与分が認められた場合の相続額計算

故人の遺産が4000万円で、相続人は配偶者と子2人であり、配偶者は8年に渡り故人の看護を専従的に行ってきたことで800万円相当の寄与分があるとされる場合、寄与者である配偶者が相続できる額は以下の通りとなります。

    (相続開始時点での遺産額-寄与分相当額)×相続分+寄与分相当額=配偶者の相続額

遺産4000万円から寄与分の800万円を差し引いた3200万円をもとに相続額を計算するので、配偶者と子2人の法定相続分は次のようになります。

  • 配偶者は3200万円×2分の1=1600万円
  • 子Aは3200万円×4分の1=800万円
  • 子Bは3200万円×4分の1=800万円

配偶者には寄与分があるので800万円を加算し、合計2400万円を受け取ることが可能になります。

寄与が認められるには客観的に納得できる事実が必要

特定の相続人に寄与分を認めれば、他の相続人の取り分は減ってしまいます。それを承知で全相続人が納得できるような寄与の事実がなければ、トラブルに発展しかねません。他相続人の合意が得られないと判断した場合は、自ら家庭裁判所に申し立てを行い、寄与分を主張して認めてもらう必要があります。

寄与があったと一般的に認められる事由には、以下のようなものがあります。

  • 農業等に代表されるような、故人の事業を無償で手伝い故人の財産増加に貢献した場合
  • 故人による不動産等高額な資産購入や借金返済等において、多額の金銭を贈与した場合
  • 付添婦を雇わず費用支出を免れさせ、自ら故人の看護や介護を専従的に行ってきた場合

寄与分を客観的に納得させるための説得や証拠、遺言内容が重要

単身で故人の介護をやってきた場合、介護に精一杯で記録を取ってないことが多々あります。当事務所で寄与分について依頼を受けた場合は、まずは相続人同士の交渉ベースで話を進めますので、裏付けとなる証拠を集めるところから始めます。

介護ヘルパーを使っている場合はヘルパーとの連絡帳や、老人ホーム・ショートステイといった施設の記録を一つ一つ丁寧に拾い上げ、証拠として利用できる記載がないかどうか細かく調査していき、それで介護していることが明らかになれば、遺産分割協議の場で「このぐらいは寄与していると考えられる」とか「寄与分としてこれだけ認めてくれたら十分です」等と交渉を重ねて解決を目指します。

家庭裁判所で決定してもらう場合、法的には財産の形成維持に寄与していないと寄与分として認められないため、証拠はさらに重要となります。

介護状態にあった故人に関わらなければ、支出ばかりが増え財産管理もできなかっただろう状況において、当該相続人が介護を行ったことによって財産の形成維持に貢献したとなれば、寄与分として認められる可能性が出てきます。

また、いずれ故人となることを見越して、自分によく貢献してくれた相続人にできるだけ多く財産を相続させたい場合は、生前に遺言書を作成しておくことで相続トラブルを未然に防ぐことも大変重要です。

当事務所としても、早く相談していただければその分解決の選択肢も広がります。将来の相続に備えて寄与分を見込んだ遺言を作成したい方は生前の早い段階で、親を長年介護してきた分を寄与分として認めてもらいたい方は相続開始と同時に、いずれも当事務所までお気軽にご相談ください。