相続人調査を正確に行う方法|戸籍調査を活用する
遺産相続を行うにあたり、まずは誰が相続人となるのか確定させる必要があります。その際に必要なのが、故人が生まれてから亡くなるまでに作成された全ての戸籍です。
相続人は戸籍情報をもとに調べていくことになります。
ここでは、相続人調査を進めるための方法と戸籍手配に関する知識についてご説明します。
遺産分割協議に先立ち法定相続人を調査して確定させる
故人が残した遺産は、一旦は全ての法定相続人の共有財産となり、その後遺産分割協議を経て適切な割合で分け合うことになります。遺産分割協議は最終的に全相続人の合意が必要になるため、協議を進めるためにはまず「相続人は誰か」を確定させなければなりません。
自分が把握している人物以外にも相続権を持つ親族が見つかることもありますし、財産の名義変更の際には第三者機関に相続人であることの証明をする必要も出てきます。
そこで確固たる証拠となるのが戸籍であることから、相続人調査ではまず戸籍の手配を行うことが急務となってくるのです。
故人の戸籍手配の流れ
必要になるのは、故人である被相続人の誕生から亡くなった日までに作成された全ての戸籍となります。戸籍には被相続人と親族関係にある人物が全て記載されているので、以下の順で戸籍を手配し、必要に応じて遠方の役所から取り寄せる等して収集します。
被相続人の死亡日が記載された戸籍を取る
故人の本籍地の役所から戸籍を取得します。死亡日が記載されている戸籍は最新のものとなり、ここから過去の戸籍へと遡っていくことになります。
取得した戸籍を手がかりに過去の戸籍も取り寄せる
結婚やその他の事情により戸籍が複数作成されていることがあるので、内容をよく確認し、過去の本籍地から古い戸籍も取り寄せます。そのように遡っていき出生時点の戸籍を取得できたら手配は完了です。
全戸籍から相続人となる人物を特定する
取り寄せた戸籍から、故人と家族関係・親族関係にある人物を整理し、法定相続人となる人物を特定します。
以上の流れによって法定相続人を確定させることができます。戸籍は、古いものでは明治式、新しいものではデータ化された現在戸籍までいくつか種類があり、古い形式の戸籍は毛筆の直筆で記載されているため読みにくいことがありますので注意が必要です。
収集した戸籍には3つの種類があることを確認する
戸籍は、登録された人物や様式改正等の状況により、以下3つの種類が存在します。
現在戸籍または現戸籍
現時点で存在する戸籍を指し、故人と同一戸籍にある人物が記載されています。
除籍
同一戸籍内に記載されている全ての人物が結婚や死亡等の理由から戸籍を抜けた場合、その人物について除籍と記載されます。戸籍内の人物が全員除籍となった時、戸籍は空の状態になり、戸籍自体が無くなったものとして除籍として扱われます。
改製原戸籍または原戸籍
戸籍の様式は度々変更されるため、新しい様式に都度書き写されることになりますが、反映漏れが生じた時に備えて元の戸籍も同時に保存されます。これを改製原戸籍または原戸籍と呼びます。
以上3つの戸籍を理解することで、戸籍手配の際の混乱を防ぐことができます。収集した戸籍は慎重に読み解き、誰が相続人となるのか間違いなく特定することが重要です。
遺産分割協議は全ての相続人が揃わなければ無効となる
遺産分割協議は、全ての相続人で行い全員の合意がなければ無効となります。
そのため、以下のケースに該当するような場合、遺産分割協議をやり直す必要が生じます。
特定の相続人を除いて遺産分割協議を行った場合
全相続人が参加し全員の同意がなければ遺産分割協議は成立しませんので、一人でも相続人の参加漏れがあった場合は協議のやり直しとなります。
遺産分割協議後に新たな相続人が見つかった場合や確定した場合
例えば長く行方不明で失踪宣言を受け死亡と認定された者の生存が遺産分割協議後にわかった場合、失踪宣言は取り消されて相続人が1人増えることになります。
ただし失踪宣言を受けた者の生存を知らず成立した協議は有効となり、新たに相続人となった者は、すでに利益を得た者からその分の返還を請求することができます。
被相続人の死亡後に認知された子がいると判明した場合
すでに出生した子は法定相続人となり相続の権利を持ちます。ただし、すでに成立した遺産分割をやり直す必要はなく、財産を受け継いだ相続人が認知された子の相続分を金銭で支払うことになります。
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相続人調査は時間や手間が非常にかかる作業であるため、自力で行うと大変な労力を要しますが、弁護士に依頼すれば、相続人調査から財産調査等の流れや重要点を理解しているため、迅速に問題を解決することができます。
特に、被相続人との関係が疎遠だった場合、自力では戸籍を手配するにも手間取りやすく、財産確認もスムーズに進められないことが多々あります。正確さが求められる作業だからこそ、より早い時点から当事務所の弁護士までご相談されることをお勧めいたします。